第17回
イタリアの大学卒業パーティーは盛大に!~イタリアの教育制度
3月と言えば日本では卒業シーズン。
イタリアの学校は9月に始まるので、1年の終了はバカンス(夏休み)に入る前の6月上旬。
そう、イタリアの学校は6月上旬~9月上旬まで、3か月も夏休みがあるのです。
イタリアの学校は合計13年、専門課程は高校から
イタリアでは小学校が5年、中学校が3年、高校が5年、合計すると13年。
日本は合計12年ですので、高校まで卒業するとイタリアの方が1年長く勉強することとなります。
私は子供がいないのですが、親戚には小学生から大学生までの学生が合計4人。
イタリアは家族をとても大切にするので、姪っ子や甥っ子との距離も近く頻繁に会うのですが、
日本とイタリアでは随分教育制度が違うのだな~と感じています。
日本の高校の多くは一般過程で、専門課程を学び始めるのは大学生からですが、イタリアでは高校を選ぶ時点で様々なコースに分かれます。
語学、理数、工業、商業、芸術、音楽、観光、水産、など、その数いくつあることやら。
ちょっと変わったところでは、ワインの生産地ではワイン醸造を学ぶコースもあります。
高校に行く段階で専門課程を選ぶのは難しいな…と思う反面、高校で学んでみて自分に合っていない、と思ったら大学進学時に進路を変更することもできるので、自分がどんなことに興味があるのかを知る上では、早くから専門課程を決めるのもいいのかも、などと思ったりもします。
高校卒業は大人のしるし
高校は5年間あるので、その間、学生たちはみっちりと学ぶ事になります。
試験はペーパーテストの他、与えられた議題について口頭でスピーチをするテストもあります。トラーパニでは給食がない学校がほとんどなので、学校は13時~14時の間に終わり、たっぷりと宿題を抱えて帰宅。
午後は自宅で勉強することとなります。
そして高校卒業時には大きな講堂で行われる口頭試験があり、いくつかのテーマから先生が選んだテーマについて、15分程度、皆の前で解説をしなければなりません。
この試験に合格すると、晴れてディプロマと呼ばれる卒業証書がもらえるのです。
この時、大体の生徒は18歳を迎えます。
イタリアでは18歳で成人となるので、高校卒業と成人を一緒にむかえる子供達が多く、高校を卒業したらもう大人ね、ということになります。
大学ではみっちりと勉強
さて、高校を卒業した後、約半数の子供達が大学に進学すると言われています。(2014~2015年の調査)
そして大学でも高校に続き、かなりみっちりと勉強することとなります。
イタリアの大学は日本の大学とは違って、一斉に入学するわけではありません。
高校までは同じ時期(6月)に一斉で卒業するわけですが、大学はその後、9月に入学する人もいれば、11月に入学する人もいたりします。
大学や学部によって入学時期が違うのです。
さすが自由の国、イタリア。
そして勉強する年数も学部によって異なります。
多くの学部は3年で大学卒業、その後2年間の専門課程に進む学生が多い中、薬学、医学、建築学は大学を卒業するのに5~6年必要となります。
学ぶ年数は異なりますが、どこの学部に入学しても、卒業するにあたってはみっちりと勉強しなければならないのです。
トラーパニの友人の息子ピエトロ君がヴェネツィアで日本語を勉強しているので、休みでトラーパニに帰ってきた時に時折、家庭教師を頼まれて日本語を教えています。
ピエトロ君は今年2年生。
テキストを見ると意外と難しくてびっくり!
そしてトラーパニに帰ってきても、ほとんど家で勉強しているピエトロ君。
イタリアの大学は本当に大変なのだな…と実感しました。
大学卒業パーティーは盛大に!
去年の12月、夫の姪っ子キアラちゃんが晴れて大学卒業しました。
彼女は高校も大学も専攻は語学。
高校時代には大学で東洋の言語を学ぼうか、と言っていた時期もありましたが、結局大学で専攻したのはフランス語とスペイン語でした。
語学、と言っても話せればいいという訳ではなく、その国の文化・歴史など、学ぶ事は多岐に渡ります。
それに加えて一般教養的な授業もあるそうで、勉強はとても大変そうでした。
多くの学生が3年で卒業する学部を4年以上かけて卒業する中、勉強好きな彼女は規定の3年で卒業。
そして家族と友人など、今までお世話になった人を招いて盛大なパーティーが行われました!
パーティーが行われたのはトラーパニ近郊のアグリツーリズモ。
ちょうどお正月明けでしたので、クリスマスの飾りがとても可愛い。
総勢60人のとっても賑やかなパーティーでした。
この日の主役はもちろんキアラちゃんな訳ですが、集まった人達はもちろん食事も楽しみにしています。
この日の料理はアグリツーリズモの自家菜園で作られた新鮮野菜を使った田舎料理と子豚の丸焼き!
美食の島シチリアで生まれ育った面々は、素材や料理方法にとても厳しいのですが、大満足の料理の数々。
前菜は全部で10数種類あったのですが、私が写真を撮る前にあっという間になくなってしまい…。
改めてシチリア人の「食べる力」を感じました。
キアラちゃんはたくさんの人に祝福されてとても嬉しそうで、心温まるパーティーでした。
彼女は既に専門課程に進み、現在はツーリズモについて学んでいます。
将来はたくさんの国の人と触れ合う事ができる観光産業で働きたい、と目を輝かせています。
がんばれキアラちゃん!
レシピ
今月の料理は「白身魚のアクア ディ マーレ」をご紹介します。
アクア ディ マーレとは「海の水」という意味ですが、かつては漁師が釣って来た魚を海水だけで煮込んだ料理だったそうです。
ご紹介するレシピでは少しだけ材料を加えて、アクセントをつけました。
少ない材料で煮込んでいるうちに美味しくなってくれるとっても便利な一皿です。 レシピはこちら
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。