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シチリアからの風~マンマに教わったとっておきレシピ~

シチリア島トラーパニ在住でシチリア料理・菓子 スペシャリストの佐藤礼子さんから、シチリアの暮らしと食、とっておきのレシピをお届けします。

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家族と一緒に…シチリア流クリスマスの過ごし方

今年もいよいよ1年最後の月、12月になりました!
12月と言えば日本でもクリスマスシーズン。
日本ではイベントとして扱われているクリスマスですが、ここキリスト教国家のイタリアではクリスマスは1年で最も重要な宗教行事です。


イタリア語でクリスマスはNatale(ナターレ)。
「産まれる」という意味のNascere(ナッシェレ)が語源となっている通り、キリストの生誕をお祝いするのがクリスマス。
キリスト教の教えでは12月8日は「無原罪聖マリアの祝日(聖母受胎祭)」で、聖母マリアがその母アンナの体内に宿ったことを記念する日で、イタリアはこの日は祝日となります。
そしてこの日がクリスマスシーズンの始まりとなります。

  • クリスマスのトラーパニ
  • クリスマスのトラーパニ

この日を境に街は一気にクリスマスモード!
街にはイルミネーションが灯り、市場ではクリスマスの料理に向けてマンマ達の買い出しが始まり、パスティッチェリア(お菓子屋さん)にはクリスマスのお菓子が並び始めます。
トラーパニの近くの小さな街では、クリスマスの時期の伝統「ザンポーニャ」と呼ばれる楽器を演奏しながら、独自の衣装を着て練り歩くのもクリスマスの風物詩。

  • クリスマスの買い出し
  • クリスマスのお菓子
  • ザンポーニャ吹き

12月8日にはスフィンチェを揚げる

私が住むシチリア島トラーパニ地方では、12月8日には「Sfince(スフィンチェ)」という揚げドーナツのようなお菓子を作ります。

  • スフィンチェ
  • スフィンチェ

クリスマスシーズンはお祝いの期間。
昔は贅沢品だった甘いお菓子を作り、家族でキリストの誕生のお祝いに向けて準備を始めます。
スフィンチェは粉と茹でたジャガイモを潰して、そこに砂糖、イースト、オレンジの皮のすりおろし、水を加えて生地を練りあげます。
かなり水分量が多く、練る作業はとっても大変!
マンマが家族のために太い腕でバンバンと力強く生地を打ち付けます。
そして1時間くらい醗酵させてから、小さな丸いドーナツのような形にして、オリーブオイルで揚げ、砂糖を全体にまぶします。
揚げている最中はほわ~んと甘~くおいし~い香りが家中に漂い、家族が集まってきて、横からつまみ食い。

「ちょっと!なくなっちゃうわよ!」

と言いながら、マンマもつまみ食い。
大量に作るスフィンチェですが、あれよあれよ・・・という間になくなっていく。
それほどみんなが大好きなお菓子!

  • スフィンチェを捏ねる
  • スフィンチェを揚げる

クリスマスは家族と、お正月は好きな人と

さて、こうして少しずつクリスマス気分を盛り上げていくシチリアのクリスマス。
イタリアには「クリスマスは家族と、お正月は好きな人と」ということわざがあります。
大都市では家族と離れて住んでいるため、こんな習慣も少しずつ薄れてきているようですが、信仰心が厚いといわれるシチリアでは、24日の夜からは実家に家族が集い、食事を共にし皆でお祝いします。
私はシチリアに来てからの12年間、毎年、パートナーの家族と一緒に過ごします。
さあ、24日の夜からがお食べ地獄耐久レースの始まりです!

24日の夜の食卓は魚料理を食べるのが伝統。
もともとは贅沢な肉料理は食べずに厳かな気持ちでクリスマスを迎えるという教えだったそうですが、現在では魚料理ベースの贅沢な食卓に。
意味合いは変わってしまったものの、家族で食卓を囲むのはやはり楽しいもの。

そして迎える25日、クリスマス当日。
朝は教会のミサに参加し、その後、実家に集まり家族総動員での昼食会が行われます。
クリスマスの日のパスタはいつもよりちょっと凝っていて。
手打ちパスタで作ったラザーニャかカンネッローニが定番。
それに続き、肉料理、付け合わせ、サラダ、フルーツ、デザート・・・。昼食会が終わった時にはもうお腹ははちきれんばかり!
昼食会が終了するのはいつも16:00頃。
昼食の後は、家族でカードゲームを楽しむのがシチリアンファミリーの定番。
そして昼食が終わってからから数時間後にやってくる夕食の時間。
ここでもまた食べ続ける恐るべしシチリア人達。

  • クリスマスイブの夜の定番タコのサラダクリスマスイブの夜の定番タコのサラダ
  • カンネッローニカンネッローニ
  • 牛肉の煮込み 野菜ソースと付け合わせ牛肉の煮込み 野菜ソースと付け合わせ

さて、翌日26日。
この日は聖ステファノの日で祝日。
クリスマスの日に食べたものも消化しきれないまま、また家族で昼食会。
もちろん食卓には前日とは違ったメニューの品々が並びます。

こうして24日の夜から26日まで、家族で食事を楽しみながら過ごすのがシチリア流クリスマスの過ごし方。
マンマは家族のために3日間休むことなく料理に腕を振るい、家族は何をするでもなく、皆で集まっておしゃべりして、ゲームをして時を過ごし、家族全員が元気で過ごしていることに改めて幸せを感じるクリスマス。
お食べ地獄でお腹はパンパンですが、とっても素敵なクリスマスの過ごし方です。

さて、今年の料理は何かな?
今の時期になると私も毎年クリスマスの料理が楽しみでなりません。

さて、今日ご紹介するレシピは、クリスマスイブの食卓によく登場するたらを使ったメニュー、「たらのアーモンドパン粉焼き レモンとケッパー風味」です。

レシピ

たらのアーモンドパン粉焼き レモンとケッパー風味

たらのアーモンドパン粉焼き レモンとケッパー風味

シチリアでは干しだらを使いますが、レシピでは日本でも手に入りやすい生のたらで。
ローストアーモンドがたっぷり入ったパン粉がカリカリとした楽しい食感に焼き上がります。赤と緑のクリスマスカラーのソースで気分を盛り上げましょう!
パン粉にもソースにもレモンを使って、スッキリ爽やかなシチリア風クリスマス料理を楽しみましょう。レシピはこちら

佐藤礼子佐藤礼子 (Reiko Sato)
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。

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