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シチリアからの風~マンマに教わったとっておきレシピ~

シチリア島トラーパニ在住でシチリア料理・菓子 スペシャリストの佐藤礼子さんから、シチリアの暮らしと食、とっておきのレシピをお届けします。

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シチリアの食卓を彩る鮮やかな陶器
シチリアのマヨルカ焼き

シチリアにはレース編みや赤珊瑚細工のように多くの伝統工芸がありますが「陶器」もその一つ。
鮮やかな柄とポッテリとした温かみのある感触がとても魅力的なシチリアの陶器はマヨルカ焼きと呼ばれ、1枚テーブルに置くだけで食卓を華やかにしてくれます。

マヨルカ焼きの名前の由来と技法

マヨルカ焼きはスペインのマヨルカ島を経由してシチリアに入ってきたことからその名が付きました。
かつてイベリア半島がイスラム支配下にあった時代、イスラム圏からマヨルカ島にその技術が伝わり、それが同じくイスラム支配下にあったシチリア島に入ってきたと言われています。
その後、イタリア中部や北部に広がり、それぞれの街で発達してきました。
現在もイタリアには陶器で有名な街がたくさんあります。
イタリア語では「Maiolica」=マイオリカ、日本語では「マヨルカ焼き」、「マヨリカ焼き」、「マジョルカ焼き」、「マジョリカ焼き」…と色々な呼び方をされていますが、全て「マヨルカ島」を指しています。
シチリア人が発音しているのをきいていると「マヨルカ」が一番近いため、私は「マヨルカ焼き」と呼んでいます。
マヨルカ焼きは素焼きの陶器に白い上薬をかけ乾燥させ、その上に顔料で絵柄を描きます。
そして高温の窯で焼く事で色を定着させます。
器に白い上薬をかけるので、顔料の発色はとても鮮やか。
その美しい色は褪せることはなく、一生使い続ける事ができる陶器なのです。

  • 土をこねてろくろを回して土台を作ります。土をこねてろくろを回して土台を作ります。
  • 筆で丁寧に絵付けしていきます。筆で丁寧に絵付けしていきます。
  • 高温窯で長時間焼いて美しいマヨルカ焼きが完成!高温窯で長時間焼いて美しいマヨルカ焼きが完成!

シチリアを代表する陶器の街 カルタジローネ

標高600mの高台にあるカルタジローネの街。 街の名前の由来は「壺の丘」を意味するアラビア語と言われています。
その名の通り、イスラムの支配下の時代から陶器造りが盛んで、今も尚、陶器造りの街として栄えています。
実際、この一帯は陶器作りに適した良質の粘土層に恵まれ、先史時代から陶器も多数発掘されています。
バロック建築が立ち並ぶ旧市街の中心部に向かう途中には、右に左に並ぶカラフルな柄のマヨルカ焼きのお店が並び気分はワクワク。
お店を眺めながら高台を目指して登っていくと突然現れるのが142段のまっすぐな階段。
そしてその蹴上がりにはマヨルカ焼きの装飾が組み込まれ、そのタイルの模様は下段から上段に向かって昔から20世紀に至るまでの絵柄の変遷を見る事ができます。
そして一番上まで登るとそこからはカルタジローネの街を一望する美しい風景。
この階段の他にも、建物や教会のサイン、番地、レストランの看板等々、街の至るところに陶器が溢れ、歩いているだけでも楽しい。
マヨルカ焼きには、それぞれの時代を代表する基本的な絵柄があるのですが、造り手によってそのスタイルは様々で、筆のタッチや微妙な色の付け方によっても全く違う表情を見せるのが面白いところ。
お気に入りの陶器を見つけるコツは、まずはたくさんのお店に入ってみて、自分の好みのお店を見つける事。
好みのお店を数店にしぼったら、今度はじっくりと探しましょう。
8ユーロくらい(1000円程度)のお手頃価格の小皿もたくさんあり、お土産にすれば喜ばれること間違いなし!

  • カルタジローネの142段の階段。カルタジローネの142段の階段。
  • 階段の上から見た景色、褪せた色が美しいカルタジローネの街。 階段の上から見た景色、褪せた色が美しいカルタジローネの街。
  • 美しいマヨルカ焼きのお店がたくさん。美しいマヨルカ焼きのお店がたくさん。

陶器の変遷を見る事ができる州立陶器博物館

カルタジローネの旧市街に向かう途中の市民公園の中にある州立陶器博物館。
ここでは先史時代から現代までの陶器が、時代を追って展示されています。
陶器はその土地で使われるだけではなく、他の街と交易もされていました。
そのため、シチリア以外の街の陶器も展示されています。
そして見どころは博物館内部だけではなく、市民公園を囲む塀に施されている陶器達。
壁一面にはタイルの装飾、そして壁の上には美しい柄の陶器。
カルタジローネは宿泊することなく、陶器ショッピングだけで去ってしまう人も多いのですが、この博物館は是非とも時間を作ってじっくりと見ていただきたいです。

シチリアは陶器の街の宝庫!

カルタジローネ以外にもシチリアには陶器の街がたくさん!
北東部のサント ステファノ ディ カマストラ、シチリアの州都パレルモ、シチリア南西部のシャッカ、そしてシチリアの最西端トラーパニのすぐ近くの山の街エリチェ。
いずれも良質の陶器用の粘土に恵まれた土地に陶器の街が発展しました。
カルタジローネの街の陶器はとても繊細でデコラティブなので家の装飾向き。
実際に料理を盛るのに使うには、もう少しシンプルな他の街のものが使いやすいかもしれません。
私がよく買い物に行くのはサント ステファノ ディ カマストラ。
トラーパニから約250キロ、海岸線を東に向かったところにあるこの街。
街には大きな工房がいくつもあるため、お皿だけではなくテーブルやキッチン用のシンクなど、家具として使う大きなものも展示されています。
いつかはこんな大きな陶器のテーブルが欲しい、そしてキッチンは全部タイルで…など、夢を膨らませます。

  • 博物館がある市民公園の中でも陶器が使われています。博物館がある市民公園の中でも陶器が使われています。
  • エリチェのかわいいレモン柄の陶器。エリチェのかわいいレモン柄の陶器。
  • 16世紀になると黄色やオレンジが出てきて華やかな印象に。16世紀になると黄色やオレンジが出てきて華やかな印象に。
  • シャッカの街角で絵付けするおじさん。シャッカの街角で絵付けするおじさん。
  • サント ステファノ ディ カマストラでみつけたレモン柄の大きなテーブル、かわいい!サント ステファノ ディ カマストラでみつけたレモン柄の大きなテーブル、かわいい!
  • サント ステファノ ディ カマストラの陶器のお店。街を歩いているだけでもたのしい!サント ステファノ ディ カマストラの陶器のお店。街を歩いているだけでもたのしい!

料理が好きな人なら絶対に訪れてほしいシチリアの陶器の街。
想い出の1枚を探してくださいね!

レシピ

イカの詰め物グリル レモンソース

イカの詰め物グリル レモンソース

今月の料理は「イカの詰め物グリル レモンソース」をご紹介します。
イカにパン粉ベースの詰め物をしてグリル、そして爽やかなレモンソースをかけて頂きます。
初夏にピッタリの一皿です。 レシピはこちら

佐藤礼子佐藤礼子 (Reiko Sato)
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。

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