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シチリアからの風~マンマに教わったとっておきレシピ~

シチリア島トラーパニ在住でシチリア料理・菓子 スペシャリストの佐藤礼子さんから、シチリアの暮らしと食、とっておきのレシピをお届けします。

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寒い2月はカーニバルで大騒ぎ!

冬でも比較的暖かいシチリアでは、2月になるとアーモンドの花が咲き始めます。
桜にとっても似たアーモンドの花は可憐でとっても美しく、2月のシチリアの風物詩でもあります。


とはいえやっぱり冬は冬。
2月は1年の中で一番気温が低く、冷たい風が吹きます。
そんな2月の寒さを吹き飛ばすかのようにやってくるのがカーニバル!
イタリアではヴェネツィアの仮面と仮装が有名で、皆さんも一度はテレビで見たり、耳にしたことがあるであろうこのお祭り。元々はキリスト教の宗教行事だったことはご存知でしょうか?

  • アーモンドの花アーモンドの花
  • 2月の海の風景2月の海の風景
  • ヴェネツィアのカーニバル
  • ヴェネツィアのカーニバル
  • ヴェネツィアのカーニバル
ヴェネツィアのカーニバル

カーニバルの由来と時期

カーニバルは日本語では「謝肉祭」、イタリア語では「カルネヴァーレ」と呼ばれています。
その語源はラテン語で「肉を取り除く」という意味。
カーニバルが終わってからキリストの復活を祝う復活祭までの間は、キリスト教の教えから肉を食べずに節食し、悔い改めながら過ごす期間となります。
その前に肉をたくさん食べ、大騒ぎしよう!それがカーニバルの始まりと言われています。
カーニバルの時期は後にやってくる復活祭から逆算されます。
復活祭は移動休暇で毎年異なる日にやってくるので、カーニバルの時期も毎年異なりますが、2月にやってくることが多く、もしかして寒い冬を楽しく過ごすためのお祭りかな?などと想像してしまいます。
カーニバル期間の長さは地方によっても違うようですが、大体1週間程度で最終日は節食期間に入る水曜日の前の日、つまり火曜日。
この日は「カルネヴァローネ(盛大なるカーニバル)」や「マルテディ グラッソ(肥沃な火曜日)」などと呼ばれ、お祭りの終わりを惜しむごとく、街ではいろいろなイベントが開催され盛り上がります。

  • トラーパニ近郊の街エリチェで行われたカルネヴァローネのイベント
  • トラーパニ近郊の街エリチェで行われたカルネヴァローネのイベント
トラーパニ近郊の街エリチェで行われたカルネヴァローネのイベント

子供も大人も仮装大会!

カーニバル期間は学校も休みになります。
子供達はこの時期をとっても楽しみにしていて毎年「お姫様になりたい!」とか「ヒーローになりたい!」など、マンマ達におねだり。
街の子供服屋さんにも仮装用の衣装がショーウィンドウに並びます。
週末には子供達は仮装して公園で遊んだり、お友達のおうちに遊びに行ったりして楽しみます。
トラーパニ近郊の街では、カーニバル期間の週末、大きな仮装した山車と共に仮装した人達が踊りながら行進をします。
山車は世の中の風刺だったり、流行りのキャラクターだったり、テーマは様々。
そのテーマに沿って人々も仮装します。
それを見物するために多くの人が街を訪れますが、見物している人達の中にも仮装している人がいて、それを見るのもまた楽しい!

  • カーニバルの観客
  • カーニバルの観客
カーニバルの観客
  • カーニバルの山車
  • カーニバルの山車
カーニバルの山車

カーニバルのお菓子とトラーパニ伝統料理

シチリアにはたくさんのキリスト教と密接に関わり合ったお菓子がありますが、カーニバルのお菓子と言えばなんといってもカンノーロ。
今ではシチリアを代表するお菓子となったカンノーロはカーニバル以外の時期でも食べる事ができますが、もともとはカーニバル時期のお菓子でした。
その他にも、生地を小さく切って揚げてハチミツを絡めたピニョラータというお菓子がよく作られます。
お菓子屋さんには仮装した人を模したコミカルな顔のお菓子も並び、ショーケースもカーニバル仕様に。

  • カンノーロ(上)/変な顔のお菓子(下)カンノーロ(上)/変な顔のお菓子(下)
  • ピニョラータピニョラータ
  • ピニョラータを作るマンマピニョラータを作るマンマ

そしてトラーパニのカーニバル時期の伝統料理と言えば「肉のクスクス」!
トラーパニはアフリカ大陸から近いため、アラブの影響を非常に強く受けた食文化が形成されました。
クスクスもその一つ。
トラーパニ地方では粉から作る「手捏ねクスクス」が作られます。
手で捏ねたクスクスは、クスクス専用の素焼きの蒸し鍋「クスクシエラ」で1時間半蒸し、スープを染み込ませ、更に寝かせる・・・というとても手の込んだ料理。
海に囲まれ漁業が盛んなトラーパニでは「魚のクスクス」が定番ですが、カーニバルの時期と言えばやはり肉を食べる期間。そこでクスクスも「肉のクスクス」が作られるのです。
残念ながらこの肉のクスクス、作れる人がだんだん減ってきてしまい、今となっては幻の一皿となりつつあるのですが、幸運なことに私のパートナーのマンマはクスクス名人!
カーニバル期間の日曜日には家族全員が集まり、肉のクスクスを食べるのが年間行事のひとつ。
長い時間をかけて作ったマンマのクスクスは、見た目は地味ですが、食べてみると驚くほどおいしい・・・。
「昔はね、肉は本当にご馳走だったのよ。毎日なんて食べられなかったのよ。」というマンマの昔話と共にいただく肉のクスクスは、心に沁みわたるおいしさです。

  • クスクスを捏ねているところ/クスクス専用の素焼きの蒸し鍋「クスクシエラ」(右下)クスクスを捏ねているところ/
    クスクス専用の素焼きの蒸し鍋「クスクシエラ」(右下)
  • 手捏ねクスクス手捏ねクスクス
  • 肉のクスクス肉のクスクス

今年のカーニバル最終日は2月28日。
カーニバルのイベントはその前々週末と、前週末にかけて行われる街が多いようです。
もうすぐやってくるカーニバル。
今年も楽しみです!

今回ご紹介する料理は「豚肉のスカロッピーネ レモン風味」。
スカロッピーネとは薄い肉に薄力粉をまぶし焼いた料理で、通常は仔牛肉を使う事が多いのですが、レシピでは手に入りやすい豚ロース肉を使ったスカロッピーネをご紹介します。

レシピ

豚肉のスカロッピーネ レモン風味

豚肉のスカロッピーネ レモン風味

肉汁とレモン果汁が軽くとろみのついたソースとなり、レモンで豚肉はさっぱりと、そしてバターのコクが食欲をそそる一皿です。
とっても簡単にできるので、ぜひお試しください。レシピはこちら

佐藤礼子佐藤礼子 (Reiko Sato)
ラ ターボラ シチリアーナ主宰。シチリア島トラーパニ在住。シチリア料理・菓子 スペシャリスト。イタリア料理・菓子の知識を生かし、大手企業で洋菓子の商品開発、カフェの店舗企画に従事。2004年、シチリア(イタリア)食文化を学ぶため、イタリアに渡り、現地にてシチリア郷土菓子や家庭料理を研究しながら、食に関するコーディネートや通訳などで活躍しています。
「ポッカレモン有機 シチリア産ストレート果汁」を使ったレシピを監修していただいています。

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