~三重大学との共同研究~
ミネラル補給飲料の熱中症対策効果について
「日本法医学会」 「日本未病システム学会」で発表
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社(本社:名古屋市)は、三重大学との共同研究によって、ミネラル補給飲料の熱中症対策効果について知見を得ることができました。
近年、熱中症は社会問題化しており、昨夏は熱中症と見られる症状で病院に搬送された方が4万人を超え、うち73人が死亡、重傷患者は940人に上っています。
(出典:総務省消防庁 発表資料)
このような背景を踏まえ、当社では食品・飲料メーカーとして熱中症対策に適したミネラル補給をお客様に提案すべく商品を開発し、2008年に発売以来、夏場を中心に販売を続けています。
当社では、ナトリウムを主体とするミネラル補給飲料製品を用いた熱中症対策効果を検証すべく、三重大学と共同研究を進めてきました。この結果、同飲料を一週間継続飲用することで、心負荷、脳および心筋傷害を軽減し熱中症対策効果が期待できること、さらに、ミネラルバランスの調整を行うことで、より高い効果が期待できることについて知見を得ることができました。
尚、今回の知見に伴い、当社と三重大学では熱中症を予防するミネラル配合に関する特許を出願しました。
この内容については、2013年6月26日~28日の「日本法医学会」(札幌)、および2013年7月13~14日「日本未病システム学会」(静岡)において発表いたします。
当社では今回得られた知見をもとに、熱中症対策に適したミネラル補給飲料に関するお客様への提案を継続するとともに、より一層お客様に役立つ商品展開に活かすべく、さらなる研究を進めていきたいと考えています。
研究内容の概要
1. 背景
熱中症の発症については以下の2点が主要因と考えられています。
・高温による臓器の直接傷害
・臓器の血流量の減少
また、ヒトにおいては、熱中症になることで体内のナトリウム量の減少や体内水分量の減少が認められ、体内の熱を外へ放散できないことで発症する症状の総称です。
一方、熱中症発症対策の1つとしてナトリウム等のミネラルを含んだスポーツ飲料の摂取がありますが、その有効性は不明であることから、ラットを用いた動物実験により、熱中症対策に有効な製品を開発することを目指しました。
2. 方法および結果について
9週齢のラットに、「水」、「ミネラル補給飲料」、「ミネラル補給飲料」の各ミネラル濃度(Na, K, Ca, Mg)を増減させたもの8種類およびグルコースを加えたもの1種類、合計11種類の飲料を作製し、一週間事前に与え、熱暴露(高温下)による臓器(心臓)の熱耐性および障害の度合いを評価しました。この結果、熱中症対策に特化したミネラル補給飲料の有効性を以下の様に導き出しました。
1)熱中症に対する「ミネラル補給飲料」の有効性
【傷害関連遺伝子】について
・熱中症対策に特化したミネラル補給飲料の飲用で、心臓の熱耐性が増強されたため、熱ストレスタンパクの一つである「Hspa4」の発現量が減少しました。
※図1参照
【心臓関連遺伝子】について
・熱中症対策に特化したミネラル補給飲料の飲用で、心筋梗塞や心不全の予後を予測するBNPの遺伝子「Nppb」の発現量が減少していることから、心負荷を軽減させることが分かりました。
※図2参照
・熱中症対策に特化したミネラル補給飲料の飲用で、血管損傷を示唆し、心筋梗塞や冠攣縮性狭心症で増加する遺伝子「Edn1」の発現量が減少することで血管損傷の軽減が示唆され(※図3参照)、さらに心臓の機能低下を示唆する遺伝子「Pln」の発現量が減少することも分かりました。(※図4参照)
これらの研究データより、熱中症対策に特化したミネラル補給飲料を1週間以上継続飲用することによって、心負荷および心筋傷害が軽減され、熱中症対策効果が期待できることが分かりました。
2)熱中症対策に有効なミネラル濃度の検索
・ミネラル補給飲料を基本とし、計11種類の飲料を摂取させて熱暴露を行ったところ、なかでもCaイオンおよびMgイオンを減らした飲料群では、いずれの遺伝子でも有意な低下を認め、良好な結果が得られました。
今後、これらミネラルの濃度比率を検討することで、熱中症対策のさらなる効果が期待できることが分かりました。
学会発表の概要
1. 演 題:「熱暴露に対する事前の電解質飲料摂取の有効性の分子病態学的検討」
発表者:三重大学大学院(医学系研究科)法医法科学分野
中川泰久・井上裕匡・臼杵恵梨・清藤佑馬・池村真弓・那谷雅之
ポッカサッポロフード&ビバレッジ(株) 井上孝司・平光正典・岡田美紀
発表日:2013年6月26~28日「日本法医学会」にて
2. 演 題:「熱中症対策に有効な電解質飲料の検討」
- 熱中症モデルラットを用いた分子病態学的検討 -
発表者:三重大学大学院(医学系研究科)法医法科学分野 中川泰久
発表日:2013年7月13~14日「日本未病システム学会」にて