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2013年06月05日 その他

梅果実成分の摂取により有酸素運動と同様の効果を発揮
“遅筋”の増加により持久力向上へ

ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社(本社:名古屋市)は、近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)の矢野史子教授、白木琢磨准教授と共同で、梅果実成分の継続摂取により、特別な運動をしなくても、有酸素運動を継続して鍛えた筋肉へと変化することを発見しました。

当社では、梅果実成分の摂取により、持久力が向上することを明らかにし、昨年報告しました(参考)。今回、そのメカニズムについて解析を行い、梅果実成分の摂取により、瞬発力に関わる筋肉「速筋」が持久力に関わる筋肉「遅筋(注1)」へ変化することを見つけました。遅筋には、エネルギーを産生する「ミトコンドリア(注2)」が多く含まれ、その働きにより持久力が向上すると考えています。

今後は、梅果実中の効果成分の特定、および筋肉の質が変化するメカニズムを解明するとともに、本研究成果を梅関連商品作りにいかしてまいります。

<試験1>梅果実成分の摂取により後肢筋肉が遅筋化する

(方法)マウスを2つのグループに分け、(1)通常飼料、(2)梅果実成分を4%含む飼料を3週間自由摂取させました。3週間後、後肢筋肉の腓腹筋とヒラメ筋(注3)を採取し、遅筋量の指標となるSDH染色を行い、筋肉の変化を観察しました。SDH染色はミトコンドリアでのエネルギー生産に関わる酵素の活性を利用して染色する方法で、遅筋は速筋より濃い青色に染まります。

(結果)梅果実成分摂取グループでは、通常飼料摂取グループと比較して、本来速筋の多い腓腹筋がSDH染色で濃く染色され、梅果実成分の摂取により、特別な運動をしなくても、腓腹筋中の遅筋繊維が増加し、ミトコンドリアでのエネルギー生産に関わる酵素の活性が高いことが明らかになりました。

図1:梅果実成分による筋肉の遅筋化   ※SDH染色

<試験2>梅果実成分の摂取により有酸素運動と同様の効果へ

(方法)梅果実成分の摂取による筋肉の変化を、継続して有酸素運動した場合と比較しました。

マウスを(1)通常飼料(運動なし)、(2)通常飼料+有酸素運動負荷、(3)梅果実成分を4%含む飼料(運動なし)の3つのグループに分け、3週間飼育後、骨格筋より、筋肉の質に関わる遺伝子(Pgc1-α4、Pgc1-β)(注4)を採取し、発現量を測定しました。Pgc1-α4は、速筋化に関わる遺伝子で、Pgc1-βは遅筋化に関わる遺伝子です。

※運動は1週間に3回、流水プールでの20分間の遊泳運動をしました。

(結果)梅果実成分を摂取した場合(3)、特別な運動をしなくても、有酸素運動を継続した場合(2)と同様な遺伝子の変化が起こり、遅筋化に関わるPgc1-βが通常飼料を摂取した場合(1)と比べて増加することが分かりました。

図2:運動及び梅果実成分による筋肉形態に関連する遺伝子(mRNA)の変化
注1:「速筋」と「遅筋」

筋肉は主に筋繊維で構成されており、「速筋」と「遅筋」の2種類ある。それぞれの特徴は以下の通り。

筋肉の種類遅筋速筋
特長持久力が必要な有酸素運動で使われる瞬発力が必要な無酸素運動で使われる
筋肉の色赤い白い
ミトコンドリア多い少ない
エネルギー源脂肪
肥大化しにくいしやすい
後肢ヒラメ筋に多い腓腹筋に多い
注2:ミトコンドリア

糖や脂肪をエネルギー源に、酸素を使って、エネルギーを産生する細胞内小器官

注3:後肢の腓腹筋とヒラメ筋

腓腹筋(ひふくきん)は脚の後ろ側にある屈筋。ふくらはぎを作る筋肉。大腿骨に始まり、下方はヒラメ筋と合わさってアキレス腱となる。膝の屈曲やつま先立ちなどの運動に関与する。

注4:「Pgc1-α4」と「Pgc1-β」

骨格筋中の「Pgc1-α4」は、速筋化に関わる遺伝子で、筋肉を肥大させ、瞬発力増加に関与する。「Pgc1-β」は、遅筋化に関わる遺伝子で、ミトコンドリアを増殖させ、持久力増加に関与する。

参考

梅果実成分の摂取による持久力増強

当社は、昨年、近畿大学および和歌山県工業技術センターとの共同研究で、梅果実成分の摂取による持久力増強効果を明らかにし、報告しました(平成24年日本栄養食糧学会)。

梅果実成分を摂取したマウスでは、流水プールでの遊泳時間が長くなり、持久力が向上することが分かりました。これらのマウスでは、後肢筋肉の抽出液が赤色化していたことに着目し、今回の研究を行うに至りました。

梅果実成分の摂取による持久力増強
【骨格筋抽出物】梅果実成分を摂取したマウスの方がより赤色化が進んでいる
6月6日は「梅の日」

1545年6月6日、後奈良天皇が京都・賀茂神社に詣で、梅を奉納して祈ったところ、たちまち雷鳴とともに雨が降り始め、五穀豊穣をもたらしました。人々はその天恵の雨を「梅雨」とよび、梅に感謝すると共に、災いや疫病を除き、福を招く梅を「梅法師」と呼んで贈り物にするようになったと言われています。〈宮中日記「御湯殿 上の日記」〉。その故事にちなみ、和歌山県田辺市の紀州田辺うめ振興協議会(紀州梅の会)が制定しました。

ポッカサッポロフード&ビバレッジと「梅」

当社では1977年から30年以上にわたり梅果汁を使用した飲料を開発し、主力商品の「梅で元気」中心にリニューアル、新発売を重ねながら継続販売しています。

また、当社は、2007年より近畿大学生物理工学部及び和歌山県工業技術センター等と共同で、梅果実の機能性に関する研究を行っています。本研究に関しては、文部科学省補助事業である地域イノベーション戦略支援プログラム(都市エリア型)「和歌山の特産果実と独自技術を活用した新機能性食品・素材の開発」の成果である梅果実由来の梅酢抽出物を使用しています。

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